中国茶について

NPO CHINA 中国茶協会では、中国茶に関する情報をお伝えしています。

中国茶FAQ

Q:“お茶”ってどんなもの?

お茶とは、“茶樹の葉”を原料としたつくられたものの総称です。茶樹は学名をカメリア・シネンシスCamellia sinensisといい、ツバキ科ツバキ属の植物です。学名から分かるように、sinensis=中国種というキーワードが隠れており、原産地を示しています。実際に茶樹の原産地は諸説ありますが、中国西南地域と考えるのが定説です。
ちなみに、“○○茶”と称しながら原料が茶樹の葉ではないもの、例えば、麦茶、杜仲茶、柿茶、ハーブティーなどは、“茶外茶”と呼ばれます。

Q:中国茶ってどんなもの?

地理的に中国大陸と台湾に産する“茶”の総称です。

Q:中国茶って何種類あるの?

細かな差異まで区別すると数万種類もあると言われていますが、大雑把に捉えても2千種は下らないようです。それらを“製造方法”と、製造された“お茶の性質”により、大きく6つのグループにしたのが「6大茶類」と呼ばれる分類で、「緑茶」「黄茶」「黒茶」「白茶」「青茶」「紅茶」のグループがあります。

Q:烏龍茶ってどんなもの?

広義では、“六大基本茶類”の中の“青茶”の別称です。狭義では“烏龍種という品種の茶樹から、一定の製造工程を経て製造されたお茶”の事を指します。日本では“中国茶”と聞くと“烏龍茶”、“烏龍茶”といえばペットボトルタイプのドリンクをイメージする方が多いようですが、実際には緑茶に近いタイプからまるで紅茶のようなものまで、様々な個性を持った“烏龍茶”が生産されています。

Q:中国の緑茶ってどんなもの?

中国大陸において最も多く生産されているのは緑茶で、その量は烏龍茶などを遥かに凌ぎ、総生産量の約7割を占めています。歴史的にみても紅茶や青茶など他の茶類より長く、お茶は緑茶から始まったともいえそうです。また茶樹の生育可能な地域においては全域で緑茶は生産されており、全国規模で最も愛飲されている茶類でもあります。

Q:中国緑茶と日本緑茶は同じ?

基本的な製造工程は同じですが、最初の工程である加熱(殺青)の方法が異なります。日本緑茶の大多数が“蒸し”て加熱するのに対し、中国緑茶の殆どは“釜で炒って”加熱する手法を用います。この違いが両者の茶水の色、味、香りに大きく影響します。

Q:中国茶の収穫シーズンは?

各分類によって異なります。
緑茶:大陸の高級緑茶においては特に収穫時期が重要視され、沿岸部よりの生産地においては清明節(新暦の4月5日前後)前に摘まれた茶葉を高級品の条件とされてきました。しかし、近年においては年々収穫時期が早まる傾向がみられます。
白茶・黄茶:高級品については緑茶ど同様なことが言えます。
青茶(烏龍茶類):緑茶と異なり1年に幾度か収穫期があります。品種や産地の気候などにより、ベストとされる時期は異なりますが、夏を除き各季節にそれぞれの持ち味があるとされています。
紅茶:一般的に夏に収穫(摘採)、製造されています。
黒茶:製法が他の茶類とは全く異なるため、一般的な収穫シーズンに当たるものは無いと考えてよいと思われます。

Q:茶葉の品質はどうやって判断するの?

一言で言えば、そのお茶がそのお茶の“しかるべき状態”にあるか否かを見るということです。乾燥茶葉、茶水、茶殻のそれぞれの様態において形、色、香り、味などを観察しますが、そのお茶の“しかるべき状態”の判断は、日々茶葉に接している者でも簡単ではありません。手っ取り早い方法としては、信頼のおける専門店で“これこそが質の高い本物”という茶葉を教えてもらい、しっかり記憶に留めておく事でしょう。
更に簡単な判断方法として、先述お茶の三つの様態(乾燥茶葉、茶水、茶殻)での、“ツヤ”を見る方法があります。良いお茶はそれら全ての様態において、明度が高く透明感を持ち合わせいるのに対し、どこかに何かしら問題のある茶葉は、粉っぽかったり、濁りが出たり、暗い感じがするものです。

中国茶の淹れ方の作法は?

もし、淹れ方の作法を日本の“茶道”に準ずるものと捉えるならば、“茶藝”と称されるものが存在します。ただし、“茶藝”という言葉自体は比較的新しく、1970年代後半に台湾で生み出されたものです。福建省や広東省において、その地で生産される烏龍茶の伝統的な飲み方である“工夫茶”をベースに、日本茶道に倣って一連の所作を整え、作法として発展させてようとしたのもので、現在においてもまだ発展途上にあり、多くの専門家によって進化が続けられています。

中国の人って皆がお作法通りにお茶を淹れて飲むの?

日本の一般家庭において日常的に緑茶を飲む際、毎回茶道的な作法に則して淹れる事はほぼ無いと言えるのと同様、中国大陸や台湾の方々の多くも日頃はカジュアルな淹れ方、飲み方をしています。中でも中国大陸においてポピュラーなのが、マグカップに茶葉を入れてお湯を注ぎ、浮いている茶葉を避けながら飲む方法。ただし、この淹れ方は緑茶など、味や香がアッサリ目のお茶に適しています。

1煎目は飲まないの?

1煎目を飲まずに捨てるのを“洗茶(せんちゃ)”と呼び、それを淹れ方のルールのように紹介している情報を目にする事がありますが、それがもし茶葉の衛生上の問題とするなら、そのようにして飲まなければならないお茶は購入対象外と考えて良いでしょう。
ただし例外的にかなり長期に渡り保存された黒茶類を飲む場合には、保存状態にもよりますが、1~2煎目くらいまでを“洗茶”すると、スッキリとした味わいにはなります。
また、球形に硬く揉まれた烏龍茶を淹れる場合、1回お湯を注いだだけでは茶葉が開いて成分が抽出されるまでに時間がかかり、いざ提供する時には冷めてしまっているという事態が懸念されます。従って、最初に注ぐお湯は茶葉を温めて揉捻を緩ませることを目的として短時間で注ぎ出し、次に注いだお湯で素早く成分と香りを引き出して、風味豊かな熱い茶水をいただく方法があります。その淹れ方に関し、1煎目は“温潤泡”と呼んでいます。

中国茶の安全性への取り組みは?

現在、中国では“食品の安全”と“環境保護”に関し、さまざまな方面からの取り組みが積極的に推進されています。中でも消費者の要望に対し、その食品の実現レベルに応じて3種類の基準が設けられ、各基準別“認証ラベル”を包装に貼付して、 消費者が一目で識別ができるようになっています。
この基準とは、①無公害食品②緑色食品➂有機食品の3つで、依拠する基準が異なり、いずれも国家が認可した認証発行組織の審査を経なければ“認証ラベル”は得られないシステムになっています。

① 無公害食品

中国の国家基準および規範に照らし合わせ、産地の環境や生産工程及び品質の安全性を保障。化学合成物質の使用は、人体に影響を与えない安全基準値内において、量や期間などを限定して使用することが認められています。

② 緑色食品

コーデックス委員会(※)の「ガイドライン」に基づく国家農業部「緑色食品標準」に依拠し、化学肥料や農薬の使用量を制限し、有害生産資材の使用を禁止するなど、生産地環境から生産技術、品質、包装、貯蔵、郵送などの各過程において審査をクリアしたもの。「AA級」(有機食品と同等レベル)と「A級」(日本の特別栽培、減農薬・減化学肥料栽培レベル)に分けられます。
(※)コーデックス委員会とは
消費者の健康の保護、食品の公正な貿易の確保等を目的として、1963年にFAO及びWHOにより設置された国際的な政府間機関。

③ 有機食品

IFOAM(国際有機農業運動連盟)が策定した有機農業生産基準に依拠し、遺伝子組み換え技術や化学合成農薬、化学肥料、成長調整剤などの物質の使用が禁じられており、生産地から消費者の手に届くまでの全過程が厳しく管理されています。
特に茶に関しては、栽培から生産まで安全性に対する現場の意識が高く、高級茶においては有機や無農薬栽培でなければ品質的な要求を満たせない為、伝統的に安全性の高い環境で作られてきた茶葉も多いという情況があります。
台湾においては、2008年12月、行政院農業委員会より日本向けに輸出される一定量以上の茶葉に関する法令の改定が公布され、生産者から輸出者までの各関係者がそれぞれに整えるべき書類や残留農薬試験が義務化されるなど、安全性確保の為の規制が一層強化されています。